In this world I lock out all my worries and my feras in my room, IN MY ROOM!!

The Wichita Train Whistle Sings / Mike Nesmith
Dot Records (DLP 25801
The Wichita Train Whistle Sings / Mike Nesmith  マイケル・ネスミスは1969年にモンキーズを脱退した後、ファースト・ナショナル・バンドやソロ名義、さらにはセカンド・ナショナル・バンドをひきいて70年代もアルバムを発表していったことはよく知られています。しかし、このアルバムは彼のモンキーズ在籍中に作られたものです。でも、決して、モンキーズ脱退の準備のためではありません。ある、きわめて現実的かつばかげた理由があったのです。このアルバムは実際には1968年11月18日、19日の土日にかけて行われています。モンキーズで大儲けしていたマイケルは5万ドルの税金を取られることになっていたのです、しかし、そんな税金を払うくらいなら、音楽作った方がましだと、彼はハル・ブレインにセッションマンたちをブッキングしてくれるよう依頼します。ハルによると、土日というのはセッションマンのゴールデンタイムなのだそうです。その時間帯になんとドラム2人(もちろんハルとあと一人はアール・パーマー師匠)、ギター4人(一人はトミー・テデスコ)、フェンダー・ベースが4人、アップライト・ベースが4人、トランペット、サックス、トロンボーン各10人、パーカッション5人、ピアノ4人という、とてつもない人数を雇うことになったのです。さらに、豪華ケータリング・サービスからのごちそうつき!
 このセッションはとても印象深いものだったようで、今上記に上げた日付や人数はハルの自伝からの引用ですが、トミーさんの自伝にも記載があり、後述する有名なギターの写真もこのように、掲載されています。
 さて、この猛烈な数の楽器群を率いて、マイケル(当時マイク)はショーティ・ロジャースとともにアレンジをおこない、プロデューサーを務めます。曲はすべてモンキーズで発表された彼のカントリー・ロックです。A面1曲目、教会音楽のようなオルガンのイントロが続くと、これが本当にあの聞き慣れた「Nine Times Blue」なのか、と不安になった頃に、聞き慣れたメロディがとどきます。いったん始まると、もう、一瀉千里と言うか、一気呵成というか、四文字熟語を連発してしまうが如き怒濤のカントリー・ブラス・バンドというか、音の塊が押し寄せてきます。しかし、攻め込まれる一方かというと、妙に和める瞬間があったり、こっちのエモーションを激しく揺さぶるブラスとベースのリフがあったりで、「なかなか、やるなあ」と思う次第です。忘れないうちに書いておきますが、「Tapioca Tundra」のギターを聴くと、どうやらジェームズ・バートンも参加しているようです。
 さて、問題はA面4曲目です。しっとりとしたバラードが終わりかける頃に、誰かが「ウワッ」というような声を上げ、しばらくすると「ガシャン」と椅子が倒れたような音がします。一同ががやがやと声を上げ、「Tommy's got wild」と言うような言葉が聞こえます。これは、トミー・テデスコ氏がギターを空中に放り投げ、それが落ちて壊れた音であります。彼の自伝によると、マイケルが「曲の終わりで、何でも良いから出したい音を出してくれ」と言ったのに答えたものだそうです。こうして壊れたテレキャスターには参加ミュージシャンたちがサインを入れ、額縁に入れ、テデスコ家のマントルピース上に飾られたのだそうです。
 何にせよ、ハリウッド・ミュージシャンたちの黄金時代を感じさせる、アルバムであることは確かです。実はこのアルバム、マイケル氏のWEBでCDを販売しているのですが、先に買った人から、明らかにアナログ起こしで、音がひどいという報告をいただき、購入を控えているものです。アナログ起こしなら一日の長があるところを見せてやれと、今回の仕業となりました。お楽しみください。


<Contents>

Side 1Side 2
01 Nine Time Blue01 While I Cried
02 Carlisle Wheerling02 Papa Gene's Blue
03 Tapioca Tundra03 You Just May Be The One
04 Don't Call On Me04 Sweet Young Thing
05 Don't Cry Now05 You Told ME


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