ファッツ・ドミノ・タイムライン1955-56
Rec.DateTitle
1955/01/27Don't You Know
1955/03/15All By My Self
1955/03/15Ain't That a Shame
1955/03/30Blue Monday
1955/09/23Poor Me
1955/10/15I Can't Go On
1955/10/15I'm in Love Again
1955/10/15Bo Weevil
1955/11/07Don't Blame It on Me
1955/11/30So-Long
1955/12/23My Blue Heaven
1956/05/25Ida Jane
1956/05/25When My Dreamboat Comes Home
1956/07/??What's the Reason I'm Not Pleasing You
1956/07/??Blueberry Hill
1956/07/??Honey Chile

Note: 録音はすべてニューオーリンズのJ&Mミュージック・ショップ・スタジオ。ポップ・チャートでもヒットしたものは斜体で示した。Ain't That a Shameはファッツにとってははじめてのポップ・ヒットで、この時期にロックンロール/R&B系のシンガーが集団となってポップ・チャートの雪崩れ込んだことがわかる。本文にもどる




 
エルヴィスのカヴァー

 パット・ブーンのカヴァーは、ジョークのネタにしかならないが、エルヴィスのカヴァーは検討に値する。エルヴィスが「同時代の曲として」リトル・リチャードをカヴァーしたのは以下の4曲である。

Rec. DateTitle
1956/01/31Tutti Frutti
1956/09/02Long Tall Sally
1956/09/03Ready Teddy
同上Rip It Up

 1年間に4曲、しかもリチャードがオリジナルをリリースして間もない時期にカヴァーしているということは、エルヴィスがリチャードを強く意識していたことの現れではないだろうか。この時期にはチャック・ベリーの曲はカヴァーしていないので、エルヴィスはリチャードをライヴァルと考えていたと推測したくなる(ちなみに、同時期にロイド・プライスの"Lawdy Miss Crawdy"やファッツの"Blueberry Hill"もカヴァーしている)。
 だが、この4曲のいずれも、シングルにするつもりで録音したとは思えない。はじめから、アルバムのフィラーとして録音されたのだろう。たとえば、カール・パーキンズの"Blue Suede Shoes"などは、エルヴィスに合った曲で、オリジナルより出来がいいのではないかと思うほどだが、リチャードの曲のカヴァーにはそれほどの魅力はない。
 ビートルズのカヴァー曲は、たいていがオリジナルよりヘヴィーになっている。たとえば、ジョンが歌った"Bad Boy""Dizzy Miss Lizzy""Slow Down"といったラリー・ウィリアムズの曲(たまたまアールが叩いた)や、"Twist and Shout"がそうだ。ポールが歌った"Long Tall Sally"もなかなかの熱唱である。リチャードの曲をやるには、ポールのように本気になる必要がある。エルヴィスのカヴァーは、リトル・リチャードに対するライヴァル心のあらわれ、ある種の敬意と賛意の表明ではあったが、本気で「ロール・オーヴァー」するつもりはなかったと思われる。本文にもどる